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聖徳TAISHI

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聖徳TAISHIです。ニコニコ動画で実況をしています。
エレ片とエレキコミックとラーメンズとサニーデイ・サービスとKANA-BOONとクリープハイプが好きな人。
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尾崎世界観『祐介』感想

昨日買った『祐介』、読み終えた。

久しぶりに小説を買ったけど、もっといろんな本を読みたい衝動に駆られた。でも滅多に買わないなー。
まぁそれは置いておいて、『祐介』の感想を自分なりに書きます。


まず、著者の尾崎世界観はバンド・クリープハイプのフロントマン。
タイトルの「祐介」というのは、尾崎世界観の本名。そしてこの小説は、尾崎氏の半自伝的小説になっている。

“バンドで売れる”という夢を追いかけて日々バイトに明け暮れるバンドマン。
しかし、ライブハウスでライブをしても客はほとんどおらず、バイト代のほとんどはチケットノルマになっていく…
そんなどうしようもないバンドマンの、どうしようもない生活が主に描かれている。

この小説の凄いところは何と言っても、そのどうしようもない生活の描写の生々しさ。
実話であったり、実話の誇張だったり、はたまた、全くのフィクションだったり。
どうであれ、主人公の視界に映るものや鼻腔を刺す臭いがとてつもなく鮮明に明らかにされた情景描写は流石尾崎世界観といった感じだ。

バイト先では、鬱陶しいオッサンに意味の分からないあだ名で呼ばれたり。
鬱陶しい客の商品に爪を立てていたらある日それがバレたり。

ギターの弦を一本分の金額で二本欲しいがために、シールを剥がしてアタリを確認したり。
「切符を失くした」と嘘をついて電車代を誤魔化そうとしたり。
AVを借りる金すらケチって、ジャケットを抜き取って持って帰ったり。

ライブハウスのブッキングマネージャーが嫌な事を言って来たり。
バンドメンバーの士気も最悪で、とうとうライブハウスに来なくなって解散したり。

とにかく主人公の行動もどうしようもない上に、周りを取り巻く環境もどうしようもない。何もかもが上手くいかない。
現状に対する苦悩や焦り、そしてどこにもぶつけようのない苛立ち。
そんなマイナス感情の中で、何故か急に笑ってしまったりする。嗚呼、生々しい。

性生活の描写もあまりに生々しいものだった。
ピンサロ嬢との一幕は、『ゆーことぴあ』で映像化されるが、映像がなくてもまるで映像のようにすんなりと頭の中に入ってきた。


そして、バンドを解散し一人になった主人公が、京都のライブに出演することになる。
尾崎氏は、ここからがこの小説の第二部であるという風に語っている。
確かに、ここらへんからただの上手くいかない毎日の描写とは、ちょっと毛色が変わってくるように感じる。

主人公は、“もしかしたらこれがターニングポイントになるかもしれない”というような、そんな淡い期待感を常に持っている。
そんな簡単に話が進むわけもないのに、人間ってのは勘違いをするもんだ。
そして勘違いは続き、勘違いをしてることに気付きながらも、夢を追い続けてしまう…。

京都でのライブも、結局は何も得られずに終わる。
終始居心地の悪い、所在の無い空気に包まれたまま、終わる。

そんな中で出会った一人の女性の家に泊まるけど、その女性の彼氏と思しき男に暴力を振るわれ、全裸のまま追い出される。
そして、なんとか女子小学生の体操着を奪い取るが、その後男子小学生にその体操着を売ってくれと懇願される。

この一連のシーンは、今までとはちょっと違う何かを感じた。
特に男子小学生との出会いは少し現実離れしている。このあたりから、この小説が自伝ではなく半自伝的小説であることが色濃く表れてくる。


そしてラストシーンは、現実と空想の狭間にある不思議な物語と化す。
中盤で主人公が恐い夢を見るシーンがあるが、それと違って話は地続きになっているのに明らかに現実ではない、という不思議な描写。

このシーンを読んで物凄く戸惑ったけど、それと同時に物凄く物語に吸い込まれた。
最後のページでは“俺”と“俺”が入り混じる。もはや何が何だか分からない。

尾崎氏が何を言いたかったのか、その真相は分からないが、このシーンからは個人的には希望を感じ取った。
「もうちょっとだけ頑張ってみよう」という前向きなメッセージを感じ取った。
もしかしたら、この小説で唯一の希望に満ち溢れたシーンなのかもしれない。

このシーンは、この時の主人公の脳内で行われた葛藤みたいなものだと思う。
自分を改めて見つめ直し、その結果もうちょっとだけ頑張ることに決めたのだ、と。

もしこの主人公が、尾崎祐介から尾崎世界観になるのであれば、本当に尾崎世界観の人生を辿るなら…きっとこの後報われるんだろう。
だとすれば、仮にラストシーンに希望がないのだとしたとしても、その先に希望がある。
その希望は、読者が脳内で紡ぐしかない。続編が上梓されない限りはね。


全部で140ページ、二日で読み終えたが、ぶっ続けで読もうと思えば数時間ぐらいで読み終えられるぐらいの程良いページ数。
集中力は保つと思うんだけど、目が疲れるし肩が痛くなるんだよね~。仕方ない。
でも、もっと読みたかった。これぐらいがちょうどいいんだろうけど、もっと読みたくなるぐらいに面白かったです。

目立つのは、やっぱり尾崎氏らしい比喩表現。
そして、今描かれていることが何なのか後から明かされることが多いのも特徴的。
「分かり辛い」と言ってしまうとそれまでだが、個人的には想像力を掻き立てられた。

尾崎氏なりの描写と表現で描かれているからこそ、どうしようもなさが引き立つ。
ドロドロしてるけど、ちょっとキラキラしてる。気持ち悪いけど、ちょっと気持ちいい。
クリープハイプが好きだから、というのを抜きにしても、とてつもなく良い小説だった。


で、『ゆーことぴあ』もやっと観た。ずーっと観てなかったんです。
小説で描かれていた読みたてほやほやのシーンが映像化されていて、物凄く入り込むことができた。
なるほど、それで『鬼』のMVに繋がるのかーと色々納得。

『祐介』、『ゆーことぴあ』。共に最高だった。
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